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東京家庭裁判所 昭和44年(少ハ)41号 決定

本人 M・H(昭二四・九・一一生)

主文

本人を昭和四五年三月一〇日まで少年院に継続して収容することができる。

理由

本件関係記録を調査すると、本人は昭和四一年三月三〇日当裁判所において特別少年院に送致する旨の保護処分の決定を言い渡され、直ちに小田原少年院に収容されたが、昭和四二年二月二七日新光学院に移送されたのち、同年五月九日鳥取県西伯郡○○町○○×××番地○辺喜○郎方を帰住地として同少年院から仮退院を許されたところ、特別遵守事項を守らず保護司の指導にも応じない状態であつたので、昭和四三年二月二九日当裁判所より昭和四四年九月一〇日を限度とする戻し収容決定を言い渡され、再び右新光学院に収容されて今日に及んでいるものであることが認められる。

ところで、本件申請の趣旨によれば、本人を右期限に退院させることは不適当であり、なお今後六ヶ月の矯正教育を必要とするから、収容継続の決定をなされたいというのであるが、当裁判所の調査の結果によれば、本人は上記戻し収容決定により新光学院に再入したのち喧嘩や職員に対する反抗を繰返えし、屡々特別独居処遇を受け、また累進処遇段階を降級され現在漸く一級下の段階にあり、一旦中国地方更生保護委員会へ提出された仮退院申請も既に取下げられた事情が窺われる。それ故、上記の成績に照せば本人を当裁判所がさきに決定した戻収容の期限に退院させることが不適当であり、今後尚相当期間収容を継続する必要があることは明らかであるが、その期限については、本人の境遇とそれに基づく心情や本人が戻収容決定による再入であること、更に今後の更生に対する励みと便宜等を考慮すれば、これを昭和四五年三月一〇日までと定めたうえ、今後の本人の成績が顕著に改善されればその前半を残る矯正教育に充て、後半を仮退院による保護に向けることを目標に、右成績次第によつて上記期限内において仮退院の時期を適宜調節し、今後の本人の矯正教育の成績向上を図ることが相当であると判断されるので、少年院法一一条四項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 四ツ谷巖)

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